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リスクマネジメントの重要性とは/企業に求められる背景とそのプロセスを解説

リスクマネジメントの重要性とは/企業に求められる背景とそのプロセスを解説

企業を取り巻く内外の環境の変化が大きい昨今、企業が直面するリスクは戦争や感染症、地震や台風などの自然災害からサイバーリスク、内部不正に至るまで多岐にわたるうえ、複雑化、多様化しています。
自社にとってのリスクを把握し適切に管理できていないと、リスクが顕在化した際に回避、低減できず事業継続が困難になる可能性があります。
そこで重要になるのが リスクマネジメント です。
この記事では、リスクマネジメントの概要やその重要性を解説します。

目次

  1. リスクマネジメントとは
    • 危機管理とは
  2. なぜリスクマネジメントが求められるのか
  3. リスクマネジメントのプロセスとは
    • 状況の確定
    • リスクアセスメント(特定・分析・評価)
    • 対応
    • モニタリング・レビュー
  4. 全社的リスクマネジメント(ERM)とは
  5. リスクマネジメントを最適化するEnterprise Risk MT
    • Enterprise Risk MTでできること
    • 導入事例
  6. まとめ

リスクマネジメントとは

リスクマネジメントという言葉を耳にする機会はここ数年で増えています。
国際標準化機構(ISO)が発行した リスクマネジメントの国際規格 ISO31000 によると、リスクとは「目的に対する不確かさの影響」であり、「リスクについて、組織を指揮統制するための調整された活動」をリスクマネジメントと定義しています。
企業、組織が抱えるリスクを網羅的に把握し、そのリスクが顕在化した際の影響度や発生頻度などから対応の優先順位をつけ対応策をとることで、リスクを回避したり影響度合いを低減したり、場合によってはリスクを受容するという判断をすることでビジネスの目的達成への影響を最小化する活動です。

リスクマネジメントと危機管理との違い

リスクマネジメントと似た言葉に「危機管理」(クライシスマネジメント)があります。危機管理では会社の存続にかかわる事象や大規模災害などの「危機」に対し、そのような事態が起こる前提であらかじめ体制を整えておき、有事が起こった際には迅速な復旧や被害の低減を図ります。これまでは被害が及んでからの危機対応に重点が置かれがちでしたが、リスクマネジメントには事前準備から事後対応までが含まれ、リスクマネジメントのプロセスを平時からしっかりと回すことで、事前にリスクの顕在化を防ぎ、予防できない、回避できないリスクに対しても顕在化した場合の被害や対応時間などを最小化することに繋げます。

なぜリスクマネジメントが求められるのか

事業活動に影響を及ぼす多様なリスクが次々と顕在化しているいま、リスクに対する適切な対処をとらないことは事業の継続性が危ぶまれる事態に繋がりかねません。起こってしまった危機をどう乗り切ったか、ではなく、いかに「想定外」を減らし予めリスクに備えるかが重要です。
また、企業は様々なステークホルダーに対し、非財務面を含めビジネスに影響を及ぼすリスクをどのように管理し対応しているかという情報を開示することで、その姿勢が評価される時代へと変化しています。

リスクマネジメントをすることで、リスクを回避したり影響度合いを低減したり、場合によってはリスクを受容するという意思決定によってリスクのコントロールが可能となり、中長期での企業成長を持続させることにつながります。

リスクマネジメントのプロセスとは

リスクマネジメントがどのようなプロセスにおいて実施されるのかについてご紹介します。

リスクマネジメントのプロセス
※ISO31000:2018を元にGRCS作成

状況の確定

まず、組織のビジネス目標達成に影響を及ぼしかねない、社内外における環境の変化を理解し分析する必要があります。また、リスクマネジメントを適用する範囲を明確にすることで、責任の所在も明確になります。

リスクアセスメント(特定・分析・評価)

リスクアセスメントと呼ばれるプロセスには、リスクの特定・分析・評価というステップがあります。前提として、リスクは組織を取り巻く環境によって変化するため、一度実施して終わりではなく、定期的に見直しが必要です。

リスクの特定、つまり洗い出しは、組織の目標達成に影響を与え得るリスクを把握し、十分に理解することです。リスクの特定方法に決まりはなく、組織や部署、またはリスクの種類に応じて適切な方法で実施します。
例えば、業務フローの各ステップからリスクを洗い出したり、社内にアンケートを配布・回答してもらう形でリスクを洗い出す方法もあります。

リスクの分析は、リスクの大きさを算定することです。定量的または定性的な分析、もしくは組み合わせることも可能ですが、重要なのは人によって結果がほぼ変わらない状態にすることです。
そのため、リスクが顕在化した際の影響度 と リスクの発生頻度 という2軸で分析されることが一般的です。

リスクの評価においては、リスクの値(影響度の評価値×発生頻度の評価値)を確認し対応の優先順位を決定します。その際、組織として対応するリスクの基準を設定しておくことで、リスク評価者による結果の差異を最小化し判断指標とすることができます。
リスク評価によって出たリスク値を基準と照らしあわせ、優先的に対応が必要なリスク、影響度を下げるべきリスクなどを明確にしていきます。

対応

リスクの対応においては、主に以下の方針があります。

  • 回避:リスク対応を取っても許容できないリスクが残る場合、リスクを伴う活動自体を中止し、リスクを生じさせる要因そのものを取り除く
  • 低減:発生可能性を下げる、もしくは影響度合いを小さくする
  • 移転:保険、契約等で第三者から損失補填を受けるなど、自組織外へリスクを移転する
  • 保有(受容):対策を取らずにその状態を受け入れリスクを保有する
リスクの対応

方針が決まったら、各リスクごとの対応策を決定、実施します。
対応策も一度決めればよいということではなく、その有効性について継続的な見直しが必要です。

モニタリング・レビュー

リスクマネジメントにおいては、そのプロセスすべてにおいて継続的なモニタリングと評価が求められます。組織を取り巻く環境の変化に応じて、リスクそのものが変化したり評価が変わることもあります。また、顕在化したリスクに対し予め決定した対応策を実施したことでどのような結果になったのかの検証をすることで、その後の対応策改善へとつなげます。

全社的リスクマネジメント(ERM)とは

全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management:ERM)とは、リスクマネジメントを企業・組織全体で実施する活動を指します。経営における目的達成に影響を及ぼす可能性のあるリスクを把握、管理し経営の意思決定に活かす活動であり、企業経営に直結するものです。
部門内における部分的なリスクマネジメントでは、当該部門のリスクが低減できたとしても他部門ではビジネス機会の損失につながることも起こり得ます。そのため全社的な観点でリスクを最小化しつつビジネス目的も達成し得る意思決定のために、リスクを統合的にマネジメントすることが重要となります。

リスクマネジメントを最適化するEnterprise Risk MT

Enterprise Risk MTでできること

GRCSが開発・提供するEnterprise Risk MT(ERMT)は、企業の全社的リスクマネジメント(ERM)活動を支援するクラウドアプリケーションです。リスク情報や対応策、発生してしまったインシデント情報を登録し、ERM活動のデータベースとしてお使いいただくことが可能です。
リスクマネジメント活動は、表計算ソフト等を用いた属人的な対応になりがちですが、あらゆる情報をツール上で管理することで、最新の情報を関係者がいつでも確認できる状態となります。また、ツール上にデータが集約されることで多角的な分析や可視化が可能となり、実効性のあるリスクマネジメントを実現します。


product
全社的リスクマネジメント ERMT

「Enterprise Risk MT」 のご案内

全社的リスクマネジメント推進
国内開発のERMクラウドサービス
https://www.grcs.co.jp/products/ermt



導入事例

ERMTの導入事例については以下の記事をご参照ください。

まとめ

リスクマネジメントは対象となる組織等によってリスクそのものの種類や数、評価の基準、管理の方法などが多岐にわたりますが、自社のリスクの適切な把握と管理を行わずして事業の継続性を維持することは困難と言っても過言ではありません。
またその活動が形骸化することがないよう、実効性を高めていく必要もあります。

リスクマネジメントの実効性を高め高度化を推進するために必要なDX化については、こちらの資料も併せてご覧ください。

リスクマネジメントの DX による効果(ホワイトペーパー)
https://www.grcs.co.jp/casefile/form-riskmanagement-dx


GRCSのマーケティング部によるブログ記事です。