導入事例

パチンコとパチスロのメーカーであるサミーとゲームソフトとハードの開発と販売を手がけていたセガが経営統合し、総合エンタテインメント企業として2004 年に誕生したセガサミーホールディングス（セガサミー）。エンタテインメントコンテンツ事業、遊技機事業、リゾート事業を展開し、売上高は約3200 億円にものぼる。

　グループで約１０３００人が勤務する同社は、リスクマネジメントの強化に乗り出した。きっかけは東京証券取引所（東証）の市場再編により、プライム市場ではより高いレベルのガバナンスを求められるようになったからだ。

　2022 年4 月には総務本部内でリスクマネジメントを担当してきたリスクマネジメント部、法務知的財産本部内でコンプライアンス関連を担当してきたコンプライアンス部を母体とするグループガバナンス本部を設置。新たな課題を抽出する中で挙がったのがインシデントの管理だった。そこで導入したのが国際ガイドラインISO31000 に準拠したERM ツールである、GRCS のEnterprise Risk MT（ERMT）だった。グループガバナンス本部ガバナンス戦略室・戦略企画課で課長を務める東郷伸宏氏は「我々が求めたのはデータベースをもとにインシデントを管理するシステムです。アナログ的なインシデント管理からデジタル的な管理への切り換え、という目的に合致したソリューションは他にはありませんでした」と語る。

　従来のインシデント管理は、Excel をベースに事案を記載して集約する方式だったが、具体的な対応が個々の担当者に委ねられていた。そのため、組織として進捗状況の伝達やノウハウの蓄積、ナレッジの共有が不十分だった。結果的に対症療法的なアプローチに終始していたという。「言い換えると属人的な対応をしていました。担当者の経験をベースに24 時間 365 日対応するのが基本。涙ぐましい努力で、数々のインシデントを乗り越えてきました。とはいえ、不測の事態に備えるためにも組織的な対応へ舵を切る必要がありました」と東郷氏は話す。

　求めていたのはインシデントを見やすく整理し、進捗状況の確認などをわかりやすく表示して管理できるシステム。最終的には蓄積したインシデントのデータベースから分析まで可能なソリューションだった。セガサミーでは大小合わせ、年間数十件のインシデントが発生しているという。

　ただし、展示会に足を運んでも、目的に合致するようなサービスは見つからなかった・・・