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ERMを「自分ごと」にするには

grcsblog_20191018

 

 


この度の台風19号により被災された皆さまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。


 

リスクアセスメント・リスクマネジメントのコンサルティングでは、「現場にも『自分ごと』という意識を持ってもらう」ことについて言及することが度々あります。

■現場の業務負担が増えるだけ!?

個々のリスクについて定期的な自己点検を行ったり、リスクへの対応策を実施する際には、現場で働く従業員の協力が必須となりますので、「現場にも『自分ごと』という意識を持ってもらう」イコール、ERMの重要なポイントであることは確かです。

しかし、ただリスク管理部門(あるいは経営陣)から現場へ「リスク管理よろしくね!」と押しつけるのでは、現場の業務負担が増えるだけであり、リスクマネジメントの投資収益率(ROI)や企業のパフォーマンス全体にも悪影響を与えてしまうでしょう。

本稿では、現場の従業員がどうしたらリスクマネジメントを「自分ごと」にできるのか、その対策について考えてみたいと思います。

 

■対策その1:トレーニング

  1. 被害事例を学ぶ
    インシデントが起こった際に自社や社会に対してどれくらいの影響があるのか、同業他社の事例、有名な事例を用いて現場の従業員に学習してもらいます。
    損害金額や事業復旧までの日数等、具体的な情報が入っている事例だと効果的でしょう。


  2. テストを行う
    簡単で良いので1の学習の後にテストを行ってみましょう。
    「全問正解になるまで再テストを受けてもらう」といった工夫で、理解度が更に深まるでしょう。

     

  3. シナリオベースの演習を行う
    インシデント発生から復旧までの演習訓練を行うことも効果的です。
    実際にシミュレーションしておくことで、現場の従業員自身も「できたこと」、「できなかったこと」について把握することができますし、その後の業務改善につながることも期待できます。
 
 

■対策その2:コミュニケーション

  1. 共通認識を持つ

    リスクアセスメントでは、「厳しく監査されるのではないか?」、「現場の自主性が失われてしまうのではないか?」と考える現場の従業員もいるでしょう。

    現場が身構えてしまわないように、リスク管理部門(経営陣)からは、「会社をより良くするためのチャンスであること」、「リスクマネジメントのゴールに向かって一丸となって取り組むこと」を明確にメッセージとして伝え、それらが共通認識となるようなコミュニケーションを心がけます。

     

  2. 横のつながりも意識する

    ERMにおいて部門や拠点が縦割りで分断されてしまうと、いわゆる「サイロ化」された状態になり、隠れたリスクが発生しやすく(リスクが見えづらく)なります。

    それを防ぐためにも縦割りでのリスク管理ではなく、部門や拠点を横断したリスクの可視化や仕組みづくりも意識してみましょう。

 

いかがでしたでしょうか。

ERMを文字通り「リスクの管理」と考えるだけではなく、企業の成長の契機として捉えていただき、経営陣と現場が一丸となってERMに取り組むヒントとなりましたら幸いです。

 

 

ERMの可視化と工数削減を実現させるクラウドアプリケーション:Enterprise Risk MT

 

 


執筆担当:齋藤智晴

 

 

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